コロナ禍で東京離れが進む
人類の新型コロナウイルスとのつきあいも丸一年が経ちました。
コロナ禍で企業はリモートワーク、在宅勤務を推し進め、私たちが自宅で過ごす時間が増えています。
テレビの報道を見ると、人々の東京離れ、都市離れが加速しているように思えます。
東京都から他の府県に転出した人の数は、東京都に転入した人の数を上回る「転出超過」の状態が2020年7月以来6ヶ月連続で続いている
そうです。
また、
2019年までは、東京の転入超過数がずば抜けて突出しているという東京一極集中の傾向が顕著でしたが、コロナの影響で2020年は神奈川、埼玉の転入超過数とほぼ並びました。
もしこの傾向がコロナ収束後も続けば、わざわざ土地が高くて狭い東京のど真ん中に家を買わなくても良い、と考える人が増えてもおかしくありません。
一方で戸建住宅としてのニーズはコロナ禍の影響で高まっているようです。
在宅勤務等で家で過ごす時間が増えているので、家の生活スペースを増やしたいと考えるのは自然なことでしょう。
となると、郊外型の戸建はニーズが高まる一方、都市型狭小住宅のニーズは下火になってゆくのでしょうか?
コロナ禍における戸建のメリット
かくいう私は、世界的なパンデミックが来るなどと考えもしなかった2019年秋に、マンションの自宅を売って建売住宅を購入ました。
山手線の内側の約16坪の土地に建つ3階建ての家です。
ほんの少しだけ広いですが、いわゆる典型的な都市型狭小住宅です。
そして2020年になり新型コロナウイルスの感染拡大が深刻化し、我が家も在宅勤務等で家にいる時間が大幅に増えました。
一回目の緊急事態宣言が出たときは、子供も終日家にいる期間が長くありました。
意図したわけではありませんが、住居スペースがたくさんある戸建に引っ越して本当に良かったと実感しています。
例えば妻と私はそれぞれ違う会社に勤めていますので、仕事をする部屋が別々にないと、機密保持の観点から宜しくありません。
また、オンライン会議中に子供がうろちょろすると困るので、別の部屋で遊ばせたり、あるいは会議の無い大人が別部屋で相手をしたりできます。
さらに、ずっと家の中にいると退屈ですので、仕事の合間に家のビルトインガレージで子供と遊ぶことができたのも良かったです。
東京のど真ん中に住むメリット
都市型狭小住宅の最大のメリットは、例えば東京のど真ん中のようなエリアの戸建に住むことができる、ということに尽きると思います。
郊外の2階建て戸建に比べると、狭い土地で建築費も高くつく3階建ての家になってしまいますが、都心に暮らすというメリットがそれらの欠点を補えていれば、都市型狭小住宅は「買い」と判断して良いと思います。
我が家も東京のど真ん中に住むことに大きな意味を見いだしており、広い家を手に入れるために郊外に出るという選択肢は考えませんでした。
その根底が、世の中的にはコロナの影響で変わりつつあるのかも知れません。
先述の東京離れもそのサインなのでしょう。
但し、我が家の場合はコロナ禍にあっても、やはり都心のど真ん中に住むことにメリットを感じています。
確かに在宅勤務の機会は増えましたが、100%全ての仕事を家でできるか?というと、そうではありません。
私は東京本社での仕事が大半ですし、外勤先も東京の中心地が殆どです。
一方で子供は手が離れるまでまだまだ何年もかかりますので、仕事場と自宅、学校は近距離にあることが理想です。
私にとって、移動時間ほど無駄な時間はありませんから。
1時間半電車に乗るくらいなら、高いお金を払って都心に住み、通勤時間を30分に減らし、その分を家族と一緒に過ごしたいです。
また思い出すのは2011年の東日本大震災。
あれは確か金曜日の午後で、地震直後に首都圏の交通は麻痺してしまい、帰宅難民が大勢出ました。
私の会社も徒歩圏外に自宅がある社員は帰宅を断念し、事務所で一泊していました。
当時の私は独身でしたが、家族がいる今となっては職場から歩いて帰れないところに住むのはとても不安です。
もちろん、価値観は人それぞれ。通勤時間を有効に使っている人も大勢いて、郊外に広くて素敵な邸宅に住むことに憧れる気持ちもわかります。
コロナを経験し人々の価値観が大きく変わろうとしている今、将来の売却や投機目的も視野に入れたマイホーム購入の場合は、都市型狭小住宅は最適な選択肢とは言えないかもしれません。
一方、都心で働く必要がある子育て世帯であれば、都市型狭小住宅は依然として最適なチョイスになり得るのでは、と思います。
都市型狭小住宅の住み心地
狭小住宅というと、えんぴつみたいに細長い3階建ての家で、住み心地が悪そうという印象がありませんか?
実際に1年半ほど住んでみた感想は、思った以上に快適だなということです。
もちろん、大枚を叩いて買ったマイホームです。積極的に好きになろうというバイアスがかかっていることは否めません。笑
ですが、典型的な狭小住宅のネガティブイメージのいくつかについて、実際に住んでみた実感をお伝えしようと思います。
- 鉛筆みたいに細長い家で、強風や地震でマンションよりも揺れそう
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前のマイホームが5階建てマンションの2階でした。強風については、かなり強力な台風がきてもびくともしませんでした。
一方、新居の3階建ての家は、今のところ強力な台風を経験していないです。ですが、台風並みの強風の日も揺れは全く感じませんでした。
地震についてはマンションも揺れます。むしろ高層マンションの高層階の方が揺れるかもしれません。
こればっかりは建物の構造にもよる(免震構造であれば揺れが大きいかもしれません)ので、単純なマンションVS戸建、2階建て邸宅VS3階建て狭小住宅の比較は出来ないと思います。
なお、我が家の3階建て狭小住宅は、2階に洗濯機があります。
洗濯機の脱水運転時の揺れがが地震並みに毎度揺れます。笑
引っ越した当初は家が壊れるのではと思ったものですが、どうやらそこは問題ないようです。
- 3階建ての家は階段の上り下りが大変そう
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このネガティブ要素は、私と妻というよりは、私たちの親から言われた懸念点です。
若いうちはいいけど、歳をとったら階段の上り下りが辛いぞ、と心配されました。
確かに今は良い運動になる程度にしか思っていませんが、80歳にもなると大変かもしれません。
下の図はマンションから戸建に引越した前後の月で、私が1日に上がった階段数の平均がどう推移したかを表す図です。
真ん中あたりで上がった階段数が「15」になっている月が引っ越した月です。
ここを境に、平均数が飛躍的に上がっているのがわかりますね。
ただ、住んでいる実感としては、3階建ての家だから階段の上り下りが大変、というシーンはそれほどありません。
というのも、建売住宅は生活導線のことをよく考えられていて、1階から一気に3階に駆け上がらなくてはいけないこと、ということは滅多にありません。
何かの用事で階段の上り下りをすることは確かにしょっちゅうありますが、せいぜい1階から2階、2階から3階、というようにワンフロアを上り下りすることが殆どです。
もし注文住宅を建てる計画の方は、生活導線のことをよく考えて設計する必要があります。
3階建て狭小住宅は、2階にLDKを持ってくることが多いと思います。
そうなると、スーパーで大量の食材を買って帰宅すると、レジ袋を両手に抱えて2階のキッチンまで運ぶことになります。
確かにワンフロアのマンションに比べれば大変かもしれませんが、一方でマンションも共有スペースの表玄関から自分の部屋までの移動がありますので、どっこいどっこいなのではないでしょうか。
なお、狭小住宅の間取りの典型で、1階のお風呂場に洗濯機を置きつつ、洗濯物を干すベランダは3階になるパターンがあります。
これは濡れて重くなった洗濯物を1階から3階まで上げなくてはいけないので、結構大変なのではと想像します。
我が家は2階のLDKに洗濯機を置くスペースがあり、そのまま2階のベランダに干すことが可能です。
洒落っ気の殆どないプレーンな外観の建売狭小住宅ですが、設計に関してはとてもよく考えられていて、1年半住んだ今も不満はほとんどありません。
- お隣が近くて窮屈そう
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これはネガティブイメージのままです。笑
確かにお隣の家がすぐそばに隣接されているため、困ることがちょくちょく出てきます。
まず、マンションと比べて、生活音の反響による騒音問題は戸建にはありません。
ですが、お隣が近いが故に、涼しい春や秋の季節に窓を開けっぱなしにしていたりすると、それなりに隣家の話声や生活音は聞こえてきます。
また、音だけでなく、お料理の匂いなども漂ってきます。笑
こればっかりはお互い様なので、適度に気を遣いつつ、隣家には寛容でいないとダメだと思います。
ただこれはマンションも一緒で、ベランダが隣り合わせの部屋からは音や匂いもやってきますので、やはり気を遣いますよね。
- 家の中も狭くて居心地が悪そう
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狭小住宅と言っても、狭い土地に生活スペースを最大限確保することが目的に建てられています。
最近はLDKを広くとる家が人気がありますから、大抵の場合は日当たりの良い2階にLDKを置き、それ以外の部屋や設備は1階と3階に散らすことで、2階LDKを広くとることが多いと思います。
我が家はLDKが18畳ちょっとです。
ものすごく広々としています、とは言えませんが、子供が飛び跳ねたりしても大丈夫なスペースはあります。
物件によっては2階に水回りを全て集中させる間取りも見かけます。
その場合、LDKの広さは犠牲になってしまって16畳前後になってしまう物件をよく見かけます。
その代わりに、トイレに行くのにわざわざ階段を上り下りする手間は省けます。
この辺りは住む人の好みなのでしょう。
ワンフロアで取れる住居スペースはマンションには負けますが、1階、3階、さらにはビルトインガレージといったスペースがありますので、狭小住宅だから窮屈、ということにはならない物件もたくさんあります。
まとめ
コロナを経験したことで人々のマイホームに対する価値観は大きく変わりつつあるようです。
但し、価値観は人それぞれ。
都心のど真ん中の戸建に住むというニーズは今後も強く残ると私は思います。
だからと言って、数年後に高値で売却し利益を出そう、という考えは持たない方が良いでしょう。
あくまで自分が将来も住み続けるという前提であれば、狭小住宅もマイホーム選びの有力な選択肢の一つとして考えてみてください!
*追記: この記事を書いてしばらくして、私の本業の会社で、コロナ後も恒常的にリモートワークを推進していく方針が示されました。私が働く会社はかなりのアナログ会社なのですが、それでも世の流れには従うようです。こうなるとますます部屋数が確保できる戸建の需要が高まると思います。あとはどこまで高値を出して都心部、駅近の場所に住むか否か、という選択ですね。私の場合は100%在宅勤務にはならないので、週何回かの出社日のことも考えると、やはり都心で駅地下物件が良いな、と感じます。