前回、医療費控除、ふるさと納税、そして外国税控除の確定申告をするといくら戻るのか、という記事を書きました。
今回は、具体的にeTaxでどのようにそれぞれ申請書を作成したかを、自身の備忘録も兼ねて手順を追って説明します。
なお、私も外国税控除は今回初挑戦のため、もしかすると間違いもあるかも知れませんので予めご容赦ください。(色々と調べてから挑戦したので、おそらく合ってるとは思いますが。)
なお、数年前に初めてeTaxを使った時と比べて、今は格段に入力プロセスが簡略化されており、ふるさと納税に至ってはワンストップ特例を使うよりも楽だと思います。
eTaxに必要なもの
eTaxで確定申告書を作成し提出までオンラインで完了するためには、マイナンバーカードを使うか、または税務署で発行されたID・パスワードを使う必要があります。
ここでいきなりハードルがあるわけですが、これを機にマイナンバーカードを作ってしまうことをお勧めします。
次に必要なのはPCかスマホです。
スマホが一番お手軽ではありますが、入力項目がたくさんある場合などはPCの大きな画面を見ながらが良いと思います。
私はPCを使っていますので、PCを使った申告の仕方をご説明します。
PCを使う方は、ブラウザーを立ち上げて国税庁の確定申告書等作成コーナーにアクセスします。
確定申告書作成コーナーで申告書の作成をスタートするには、マイナンバーカードを読み取る必要があります。
読み取り方法は、スマホを使う方法と、ICカードリーダーを使う方法の2つあります。
私はICカードリーダーを使っています。
そこそこ高いですが、毎年ふるさと納税を複数箇所にやるのであれば、買っておいて損はないと思います。
ノンストップ特例で寄付するごとに書類を郵送するよりも、年明けに1年分の寄付をまとめて確定申告する方が断然楽です。
やり方は後述しますが、今や1年分の寄付のデータが入った電子ファイル(xmlファイル)をアップロードするだけでオッケーで、寄付内容を手入力することは殆どありません。
確定申告書の作成手順
それでは早速、確定申告書等作成コーナーにアクセスし、申告書の作成にとりかかりましょう!
確定申告書の作成は、
- 申請内容の選択
- 給与所得の入力
- 配当所得の入力
- 所得控除の入力
- 各種控除の入力
の順番で進めます。
事前準備
作成コーナートップの「作成開始」ボタンをクリックすると、
下図の事前準備の画面に進みます。
私はカードリーダーでマイナンバーカードを読み取るので、上の画像の丸で囲ったアイコンをクリックします。
続いて申告する年を選択します。
続いて申告する内容を選択します。
今回は医療費控除、ふるさと納税、外国税控除を目的とした所得税控除申請ですので、「所得税」をクリックします。
すると、次の画像の画面が表示されます。
マイナポータルと連携するかしないかを聞かれているのですが、私は「連携しない」で申告書を作成しています。
それでは、いよいよカードリーダーでマイナンバーカード情報を読み取ります。
上の画像に進んだら、カードリーダーにカードを差し込んで認証を実行しましょう。
この際、カードを作成する際に設定したパスコードを入力する必要があります。
申告内容の選択
マイナンバーカードの認証が終わると、下の画像の申告内容を選択する画面が表示されます。
漢字だらけで身構えてしまいそうですが、落ち着いて読めば簡単です。
私と同じようなサラリーマンで、医療費控除やふるさと納税、外国税控除を受けるだけの方でしたら、上の画像の通りに選択して頂ければ良いと思います。
特に注意したいのは、真ん中の「以下のいずれかの控除を受けますか?」の質問に対して、医療費控除とふるさと納税が該当していますので「はい」を選択することです。
続いて「それらの控除の他に、控除を追加して申告しますか?」という質問がありますが、ここに外国税控除が該当しますので、「はい」を選択します。
申告内容を選択したら、次は給与所得情報の入力画面に移ります。
給与所得の入力(全員入力が必要です)
給与所得入力のトップページでは、給与情報の入力方法を聞かれます。
もし会社から電子ファイル(xmlファイル)で源泉徴収票を受け取れる場合は、この画面でファイルをアップロードするだけで完了です。
私の会社はアナログ会社なので、昔ながらの紙の源泉徴収票を見ながら入力する方を選びます。
下の画像の給与所得入力画面が表示されたら、手元に源泉徴収票を用意します。
ここでは、源泉徴収票のどこを見れば入力に必要な情報が記載されているのかが図解されています。
それを見ながら源泉徴収票の数字を打ち込んでいきましょう。
必要情報を全て打ち込むと、上の画像の丸で囲ったところに、入力した所得金額が表示されます。
配当所得の入力(外国税控除を受ける方は入力します)
所得金額が合っていることを確認したら、同画面の下の方にある「上場株式等に係る配当所得等」という項目の「訂正・内容確認」ボタンをクリックします。
これはWealthNaviや個別株取引で海外から配当金を受け取った分の外国税控除を受けるために必要な項目です。
配当金収入がない方、外国税控除を受ける必要がない方は、この行程はスキップして下さい。
続いて、「配当所得の課税方法」の選択画面が表示されます。
ここでは「総合課税」か「申告分離課税」なのかを選択します。
ここはちょっと複雑です。
総合課税と分離課税
「総合課税」とは、配当所得を給与所得などの他の所得と一緒に合計し、それに対して所得税を計算するという方法です。
この場合、適用される税率は課税所得額によって決まります。(*国税庁のホームページを参照ください。)
一般的なサラリーマンの場合は、おそらく20〜23%の税率が適用されるのではと思います。
一方、「分離課税」の場合は、給与と配当所得は別々に所得税を計算することとなります。
給与は前述の課税所得額によって決まる税率が適用されますが、配当所得については一律20.315%の税率が適用されます。
従い、課税所得の額によっては「総合課税」を選択した方が税金が低く抑えられることになるのです。
駆け出しの新人さんを除いた東京の一般企業でお勤めのサラリーマンであれば、税率20%が適用されているのではと想像するのですが、私はまさにその部類なので、総合課税にしても分離課税にしても、配当所得にかかる税率には大きな差はなさそうです。
ということで、ここでは「分離課税」を選択します。
年間取引報告書の内容を入力
続いて、配当収入のあった取引内容を入力していきます。
私はロボ投資のWealthNaviとネット証券の口座の2つで投資をしていますが、どちらも源泉徴収ありの特定口座で取引しています。
下の画像の通り、「特定口座年間取引報告書の内容を訂正・削除」をクリックします。
すると、入力方法が電子データ(xmlファイル)の読み込みか、書面の年間取引報告書を見ながら手入力するかを聞かれます
幸い、ネット証券の方には電子データによる交付サービスがありました!
xmlデータの読み込み
証券会社によって若干違うかとは思いますが、証券会社のユーザーサイトにアクセスすると、だいたいは下図のように「電子交付の閲覧」というメニューが用意されていると思います。
そこで「特定口座年間取引書(xmlデータ)」を選択してダウンロードすればOKです。
次に確定申告コーナーの「証券会社等から交付されたデータの読込」を選択し、今ダウンロードしたxmlファイルを読み込みましょう。
たったこれだけで1年間のこの口座の取引情報が全て自動的に入力されてしまいます!
一方、残念ながら電子交付サービスがない場合、年間取引報告書を見ながら手入力していきます。
私はWealthNaviの取引情報を手入力していきます。
手入力の場合
まず、「もう1件読み込む(書面)」というボタンをクリックします。
続いて、特定口座年間取引報告書に記載された情報を転写していきます。
源泉徴収票を見ながら給与所得情報を入力した時と同じく、機械的に年間取引報告書の内容を転写してくだけですので、難しいことはありません!
上の画像の丸で囲ってある箇所が、確定申告書に必要な情報となっていますので、参考にしてみてください。
まずは「口座情報」を記載します。
源泉徴収の有無、勘定の種類等を選択しますが、全て報告書に書いてあります。
続いて「譲渡に係る年間取引損益及び源泉徴収税額等」の入力をします。
とても難しそうですが、ここでは上場株の売却取引などの情報を入れます。
これまた年間取引報告書に書いてある通り入力するだけです。
続いて「配当等の額及び源泉徴収税額等」の入力です。
ここでは配当金を受け取った取引の情報を入れるのですが、今回は外国税控除が目的ですのでとても大切な箇所です。
上の画像の⑧「国外株式又は国外投資信託等」の配当額、源泉徴収税額、配当割額の情報を年間取引報告書に書いてある通りに入力しましょう。
数字を打ち込んだら、最後にこの口座の証券会社名を入力して完了です。
WealthNaviは証券会社ではないので少し悩みますが、上の画像の記入で合っていると思います。
さて、証券会社名を入れて次へ進もうとすると、下図のようなエラーメッセージが出てきます。
「源泉徴収税額が差引金額の15.315%になっていません」とのことですが、このメッセージの注釈にある通り、外国所得税の額がある場合は15.315%にならなくても問題ありませんので、気にせず「OK」をクリックして進みましょう。
下図のように、xmlファイルで読み込んだデータと、手入力したデータの両方が入りました。
これで配当所得の入力は終わりです。
所得控除の入力
いよいよ各種控除の入力を始めます。
まずは所得控除の入力です。
所得控除の入力も、源泉徴収票を見ながら入力するだけで簡単です。
社会保険料やら、加入している生命保険等の項目を、源泉徴収票に記載されている通りに入れたら完了です!
さあ、いよいよ目玉の医療費控除、ふるさと納税、そして外国税控除に必要な項目の入力が始まります。
医療費控除の入力
まずは医療費控除の入力から始めましょう。
所得控除トップ画面の「医療費控除」の「入力する」をクリックすると、下のメニューが表示されます。
2種類ある控除方法のうち、今回は医療費控除を選びます。
すると、医療費のデータの入力方法を聞いてきます。
私のおすすめは、事前に国税庁のホームページからダウンロード可能な医療費集計フォーム(Excel表)に使った医療費の領収書のデータを入力し、それをeTaxで読み込む方法です。
すると、集計フォームに記入した病院や薬局の名前や使った金額が自動的に読み込まれます。
私が使った医療費は170,517円だったようで、医療費控除となる額は10万円を差し引いた70,517円になりました。
これで医療費控除の入力は終了です。簡単ですよ。
ふるさと納税の申告(寄付控除の入力)
ふるさと納税の申告は、所得控除のトップ画面の「寄附金控除」で入力します。
ふるさと納税の入力の仕方は、こちらの記事でも書いた通り、あらかじめふるさと納税サイトで1年分のふるさと納税データを電子ファイル(xmlファイル)で取得しておくことをお勧めします!
xmlファイルさえ持っていれば、あとはeTaxにアップロードすればOKです。
今年は16万円寄付したので、2000円を差し引いた158,000円が所得控除対象となります。
外国税控除の入力
最後に外国税控除の入力をしていきます。
ここで、WealthNaviや証券会社の口座で投資運用している外国株やETFの配当収入にかかった海外所得税について申告していきます。
「税額控除・その他の項目の入力」のトップ画面にある「外国税控除等」の「入力する」をクリックします。
手元に再び特定口座年間取引報告書を用意しましょう。
下の画像の「外国税控除等の入力」画面の赤丸部分を、特定口座年間取引報告書を見ながら記入していきます。
私の例をみますと、下画像のように、年間取引報告書の「国外株式又は国外投資信託等」の「配当等の額」を、eTaxの「相手国での課税標準」の円貨に記入します。
続いて、年間取引報告書の「外国所得税の額」をeTaxの「左に係る外国所得税額」に記入します。
これで完了です!
還付金の計算結果
どうでしょう?
源泉徴収票と特定口座年間取引報告書の内容を転写するだけなので、それほど難しくないのではと思います。
私は外国税控除の入力が初めてだったので、今回は調べながらの申告書作成でした。
そのため、2時間くらいかかりました。
その手間暇で、今回還付される金額は52,643円でした!
このうち4万円くらいがふるさと納税の所得税還付ですので、それを除いた約1万2千円強が医療費控除と外国税控除で還付される所得税額となり、節税効果の額でした。
12,000円。
大したことないと言えば大したことないかもしれませんが、お小遣い的には結構な金額ですね。
数時間をかける価値はあると思います。
還付金の振り込みまでどれくらい?
先日、無事に確定申告の還付金が振り込まれていました!
確定申告をしたのが2月上旬だったので、約1ヶ月と10日での振込でした。
この間、なんどかマイナポータルに税務署からメッセージが届いており、「振込口座の確認中です」「書類の確認中です」などの審査過程を知らせてくれます。
今回、初めての外国税控除に挑戦したのですが、特に難しいことはなく完了できて嬉しいです!
以上、何かの参考になれば幸いです。