資産運用のロボットアドバイザーといえば、名実ともに業界No.1のWealthNavi(ウェルスナビ)を思い浮かべるのではないでしょうか。
ウェルスナビのサービスは2016年7月から開始されましたが、私が運用を開始したのは2019年2月です。
かれこれ2年3ヶ月が経とうとしていますが、その使い勝手、運用実績はどうだったでしょうか。
実は最近、ロボアドバイザーに全てお任せしなくても、自分で取引した方が手数料もかからず良いのでは、などと色気づいております。
私自身がこの先もウェルスナビを使い続けるべきかどうかを検討すべく、この記事を書いてみようと思います。
ウェルスナビってどんなサービス?
ウェルスナビとは、積立資産運用を全てAI(人工知能)にお任せして自動運用するロボットアドバイザーサービスで、資産運用には富裕層や機関投資家が使うとされるアルゴリズムを使用していることが売りです。
アルゴリズムってなんぞや?と思うかもしれませんが、ようは
世界中の株式、債券、不動産、金などにプロのノウハウを駆使して自動的に最適な分散投資をしてくれます
ということです。
専門的な知識がなくても、誰でも簡単に月々1万円の積立から世界に投資することができます。
2021年5月に実施されたウェルスナビ社の第1四半期決算資料によれば、ウェルスナビで資産運用をするユーザーは26.9万人で、その預かり資産額は4,025億円に到達したとのこと。
単純にユーザー数で預かり資産総額を割ると、一人あたり平均で約149万円の資産をウェルスナビに託していることになります。
因みに先述の決算資料によれば、ウェルスナビのユーザーの90%が20~50歳代の現役世代だそうです。
仕事やらなにやらで忙しく、資産運用に時間が割けなかったり、貯金を貯め込んでいて潤沢な運用資産を持っている引退世代と異なり、手持ちの運用資金が少ない現役世代に支持されているようです。
「手持ち資金が少ない」=まさに私ですね。(笑)
月々の積立金額はいくらが良い?
月々の積立金額はいくらにするのが良いでしょうか?
これは将来の資産総額の目標を何年後にいくらと設定するのか、毎月の投資に回せる余剰資金はいくらなのかによって答えが変わってきます。
まずはあまり難しいことを考えずに、月1万円*から始めてはどうでしょうか?*
*ウェルスナビで資産運用を始めるには、最初に10万円の入金をしないと運用を開始できません。その後は月々の設定額を自動で積立運用していきます。
ちなみに私はというと、2035年12月に4000万円到達!という目標を設定し、最初は月10万円を入金する設定にしました。
2019年2月から運用を開始し、最初の5ヶ月は月10万円ずつ入金しましたが、ちょっとペースが早すぎたために手持ちの現金が減り気味に。
そこで2019年8月からは、それまでの半分の月5万円の入金にペースダウンさせました。(この頃、新居を購入して引っ越しをしたこともあり、現金が必要な時期でもありました。)
その後、旧居のマンションが良い値段で売却できたこともあり、そこそこの売却益が入り懐事情にも余裕ができました。
そこで、2021年1月からは月25万円の入金にギアチェンジします。
これは運が良かったとしか言いようがないのですが、ちょうどこの頃、中国から世界中に新型コロナウイルスの影響が広がり始めましたよね。
そして2020年3月に、いわゆる「コロナショック」と呼ばれる株式市場の大暴落が訪れます。
ここでブレーキをかけず、そのまま月25万円の入金をキープしたのが結果として大成功でした。
2020年9月に入り、流石に月25万円を毎月投入したために現金が再びだいぶ減ってしまったため、入金額を月15万円に落として今に至ります。
どんなところに投資しているの?
ウェルスナビでは、厳選した6つから7つの上場投資信託(ETF)を通じて世界に投資を展開します。
投資する商品の組み合わせは、ウェルスナビを開始する際に選択する「許容リスク」によって構成が変わります。
私の場合は許容リスク5段階中4に設定しています。ある程度のリスクは受け入れて攻めの投資をするという設定です。
これに基づいてウェルスナビが組んでくれたポートフォリオ(投資商品の構成)は以下の通りです。
米国株、日欧株、新興国株の株式だけで全体の約75%を占める構成になっています。
どちらも現在絶好調なので、かなりの含み益が出ていることがわかります。
株式に比べるとやや守りの商品となるものに、米国債券、金、不動産が残りを占めています。
(上の表の現金はまだ商品を購入する前の積立金です。)
投資初心者にはこの情報だけで十分だと思うのですが、私もかれこれ数年、自分でもつみたてNISAやiDeCo等で投資信託を買っていますので、具体的にどこの商品を積立購入しているのか調べてみました。
ウェルスナビから半年に一度送られてくる運用報告書によると、私の商品構成は下記の通りです。
世界3大資産運用会社のバンガード社、ブラックロック社、ステートストリート社の銘柄に絞られていました。
これより個別のETFについて調べていきますが、これから初めて投資を始めてみようという方は読み飛ばして頂いても結構です。
私も2年運用して初めて調べてみたくらいですので…。
バンガード VTI ETF
バンガード社の米国株約3,600銘柄に投資するETFです。
いわゆるインデックスETFと構成銘柄はかぶるものが多いですが、VTIは中小銘柄も広くカバーしているという特徴があります。
バンガード社公式サイトによると、主な組み入れ銘柄としては以下が挙げられていました。
- アップル
- マイクロソフト
- アマゾン
- アルファベット(グーグルの親会社)
- フェイスブック
- テスラ
- バークシャー ハサウェイ
- JPモルガン チェース
- ジョンソン&ジョンソン
- VISA
今をときめく超有名企業ばかりですね。
実は私、個別にアマゾン、アルファベット、VISAの株を持っているのですが、つみたてNISAでもこれらの銘柄を含む投資信託を買っており、2重、3重にかぶって投資していることになりますね…。
今はGAFAMと呼ばれるアメリカのテック系企業が席巻していますので、ウェルスナビでも構成銘柄の中でVTIの含み益がトップです。
バンガード VEA ETF
バンガード社のアメリカを除く先進国(主にヨーロッパとアジア)の株式に投資するETFです。
バンガード社公式サイトによると、主な組み入れ銘柄は以下の通りです。
- サムスン電子(韓国の電子製品部品メーカー)
- ネスレ(スイスの世界最大の食品飲料メーカー)
- ASML ホールディング(オランダの半導体メーカー)
- ロシュ ホールディング(スイスの医療品メーカー)
- LVMH モエ ヘネシー ルイ ヴィトン(フランスのファッション系総合企業 ヴィトン、ディオール、モエシャンの会社)
- トヨタ自動車(言わずと知れたウーヴンシティーでお馴染みのトヨタ)
- ノバルティス(スイスの製薬会社)
- BHP グループ(オーストラリアの世界最大の鉱業会社)
- SAP(ドイツの世界第4位ソフトウェア会社)
- AIA グループ(香港の保険、金融サービス会社)
とても多様な国に拠点を置く世界規模の企業が名を連ねています。
とても間接的ではありますが、こうした各国を代表する企業に投資していると思うと、なんだかワクワクしますね。
但し、気になるのは組み入れ銘柄企業の国別の構成比を見てみると…
日本が突出で多く、全体の21%も占めています。
もし個別で日本企業の株や投資信託を保有している場合はご注意ください。
初心者の場合は、私のようにかぶって投資していてもあまり気にせず気楽に積み立てていきましょう!
構成銘柄は常にバンガードが見直しをしていますので、最新情報は公式サイトをチェックしてみてください!
バンガード VWO ETF
同じくバンガード社による新興国の株式に投資するETFです。
但し、もはや新興国と呼ぶのでしょうか?というくらい強大になった中国も投資対象です。
バンガード VMOの主な組み入れ銘柄は下記の通りです。
- 台湾セミコンダクター マニュファクチャリング(世界最大の半導体ファウンドリ→設計せず製造に特化)
- テンセント(中国の付加価値サービスとオンライン広告サービスを展開する投資持株会社)
- アリババ グループ(ソフトバンクも出資する中国のIT系持株会社)
- 美団(中国の生活関連サービス会社メイトゥワン)
- ナスパーズ(南アフリカで上場する多国籍総合メディア会社)
- リライアンス インダストリーズ(インドの石油化学を主軸としたコングロマリット)
- 中国建設銀行(中国の国有商業銀行)
- 中国平安保険(中国の4大保険会社の一つ)
- JD.com(中国のeコマースを中心としたWebサービス会社)
- ヴァーレ(ブラジルの総合資源開発会社)
中国の企業が多く名を連ねますが、テンセントやアリババのように私でもよく耳馴染みのある名前があります。
やはりIT系が強いのかなという印象ですね。
国別の構成比率は下図の通り、ダントツで中国です。
今はアメリカのIT企業が世界を牽引していますが、10年先はどこがどうなっているのかわかりません。
そういう意味でも、これらの伸びしろがたっぷりある国々に投資を分散させるのは良いことかと思います。
他のETFと同様に、最新の組み入れ銘柄及び国別構成比はバンガードの公式サイトを参照ください。
iシェアーズ コア 米国債券市場 ETF(AGG)
ブラックロック社の人気商品で、米国インデックス債権のETFです。
債権ですので、株式のETFのような派手な値動きはなく、安定した配当収入があることが魅力です。
ブラックロック社の公式サイトでこの商品の資産構成を見ると下図の通りの構成になっています。
全体の4割弱をアメリカの国債が、そして3割弱をモーゲージ パススルー証券が占めています。
モーゲージ パススルー証券とは、個人の住宅ローンを束ねて証券化した商品のことです。
と、書くと、私のような素人的にはなんだかサブプライムローンのリーマンショックを思い出してしまいますが、アメリカではこのパススルー証券は長い歴史があり、決していかがわしい商品ではありません。
消費財サービスとは企業の債権で、主な銘柄としてはAT&TやT-MOBILEなどの通信系企業等が名を連ねています。
金融機関とは銀行などが発行する債権です。
ブラックロック社の情報によると、AGGの分配金利回りは約2.0%だそうです。
SPDR ゴールド シェア ETF (SPDR GLD ETF)
ステートストリートグローバルアドバイザーズ社が販売する金のETFで、金の値動きに連動するように設計された金融商品です。
他の特徴としては、金のETFは配当金が出ません。
iシェアーズ 米国不動産 ETF (iShares IYR)
ブラックロック社の米国不動産指数に連動するよう設計されたETFです。
同社サイトによると、組み入れ銘柄には、アメリカン タワー REIT(8.69%)や、プロロジスREIT(6.53%)、クラウン キャッスル インターナショナル REIT(6.12%)といった大型REITに投資しています。
と分かったようなことを書いていますが、正直よく分かっていません。
REITとは、投資者から集めた資金で不動産投資する商品で、投資不動産からあがる賃料や不動産売却益を投資者に配分するものです。
アメリカの不動産市況がどうなっているのか全く知りませんが、ウェルスナビの投資構成の中では全体の5%に過ぎませんので、あまり気にせず、抑えとして不動産投資もしている、とだけ把握するようにしています。
ウェルスナビでどれくらい儲かってるの?
ウェルスナビでつみたて資産運用をして2年以上が経ちましたが、先述の通り、コロナショックで大暴落した時期にかなり突っ込んで入金をしたお陰で、下図の通り、現在の含み益は約115万円(+27%)になっています。
コロナショック時は一時期マイナス20%の含み損となっていましたが、そんな時も入金を止めなかったために、その後世界経済が持ち直したことで、2020年8月あたりから今年にかけて、含み益がぐっと急角度で持ち上がっていることが分かります。
今後も何度もこうした下落を経験すると思いますが、2035年末までに4000万円達成するという目標に向かって、今後も粛々と積み立てていこうと思います。
なお、今でこそ含み益率+27%と絶好調ですが、上の図で見ると分かるとおり、最初の1年間は殆ど利益が出ておらず、先述の通りコロナショック時は△20%の含み損です。
ウェルスナビは短期で大きく利益を生み出そうとするものではなく、長期でこつこつと積み立て投資をし、複利効果で資産を成長させるためのものと言えるでしょう。
ウェルスナビのいいところは、こうした長期的な投資のロードマップが視覚的にとてもわかりやすく確認できるところだと思います。
上の図もとてもわかりやすいですし、どれくらいの確率で目標金額に到達できそうかをまとめた下の図もとても良いと思います。
こういうユーザビリティの良さが投資初心者にはうってつけだと思います。
ウェルスナビは手数料高過ぎ?
さて、ウェルスナビの手数料設定はとてもシンプルです。
運用資産総額の1.1%が手数料として毎月取られていきます。*
*長期資産運用すると、最大0.99%まで手数料が下がるサービスがあります。また、運用総額が3000万円を超える部分については0.55%の手数料になります。
運用資産総額に準じて手数料がかかってきますので、ウェルスナビの運用実績が良くて資産が増えていけば、それだけウェルスナビの手数料も増えていきます。
逆に運用がうまくいかず資産が減ってしまうと、ウェルスナビの手数料も減っていきます。
ということで、とてもフェアな条件なのでは、と感じています。
ところが、ある程度投資の経験を積み、自分で色々と考えて取引をできるようになると、この1.1%という手数料が高く感じてくるようになります。
というのも、自分で手数料が格安のネット証券等を使って取引をすれば、大幅にこの手数料を抑えることが出来るからです。
ウェルスナビの手数料は、投資商品のリバランスや取引ごとの手数料等も全て「コミコミ」料金*です。(*投資先ETFの信託報酬は、取引の際に天引きされていきます。)
あくまで、投資初心者や、投資にあまり時間や労力を割きたくない(他のことに時間を使いたい)という人に向いているサービスだと思います。
あるいは、自分で考えて取引をすると、人間ですのでどうしても感情的な取引をしてしまいがちです。
市況が暴落したときは不安から損切りで売りたくなりますし、逆に高騰したときは自分も流れに乗ろうと高値で商品を買ってしまうかも知れません。
そうした冷静さを欠くような判断をしないようにする意味でも、ロボアドバイザーのウェルスナビで淡々と、粛々と積立投資するという判断もあるかもしれませんね。
なお、私が2年以上ウェルスナビを利用した実績では、
運用で得た配分金がウェルスナビの手数料を下回ったことはありません。
上の図は2021年4月の分配金実績とウェルスナビに支払った手数料です。
分配金は合計5819円だったのに対し、支払った手数料は4161円ですので、1658円手残りがあったことになります。
手残りはまた積立金と一緒に投資に回されていきますので、しっかり複利効果を得ることになります。
せっかくの分配金も七割以上がウェルスナビの手数料でもってかれるのか
何でもかんでもお任せなんだから、それなりの手数料を払って当然なんじゃない?
運用総額3000万円を超えると、一気に手数料がお得になるみたいだから、まずはそこを目指して積み立て頑張ろう!
まとめ:ウェルスナビをお薦めする最大の理由
実はこの記事、書き上げるのにとっても時間をかけています。
というのも、原稿を書き始めた直後に米国株式市場が乱高下したため、状況を見極めるために一旦筆を止めて様子を見ることにしたからです。
ポッドキャストで視聴しているアメリカのニュース番組でも盛んに「Sell in May and Go Away*」(5月に売って市場から離れよう)と言っていました。
*アメリカの格言で「Sell in May and go away. But remember to come back in September.」(5月に売り逃げろ。でも9月に戻るのを忘れずに。)と言われているそうです。
株関連のツイッターの投稿を見ても、当時は悲観的なものがあふれ、損切りのために売却したというものや、逆張りで追加投資しましたというものが多く見られました。
去年のコロナショックのようにわかりやすく下落したのであれば私も追加投資を考えたのですが、まさに「乱高下」で、株価が上がったり下がったりと動きが激しく、なかなかアクション出来ませんでした。
そんな難しい局面にあっても、ウェルスナビでは淡々と設定した入金額で積み立て投資されていきます。
まだ市場は安定した上昇気流に乗れていませんが、もっと我慢していれば、日本をはじめ多くの国にワクチンが行き渡り、世界経済が楽観的な方向に向いていくのではと信じています。
そうなればコツコツとその時々の感情に流されずに投資を続けるウェルスナビは強いです。
ということで、私が考えるウェルスナビの最大の強みは
感情に流されること無く、ロボアドバイザーにお任せで淡々と積み立て投資をし、長期的に複利効果で資産を成長させることができる
ことです!
勿論これは自分で銘柄を選定してつみたてNISA等で投資しても同じことが出来ます。
むしろつみたてNISAの場合は売却した際の利益が非課税ですので、もっとメリットがあります。
但し、投資初心者が自分に最適な投資信託を選定するのも知識ゼロでは難しく、全てお任せのウェルスナビで投資を始めて、慣れてきたら自分でつみたてNISAも併用する、というのがベストではないかと思います。
私も資産運用をして2年以上が経った今、ある程度のノウハウは身についたのでウェルスナビをやめて全て自分で取引しようかな、とも考えました。
ですが、今回この記事を書きながら決心がつきました。
この先もウェルスナビは続けます。
自分で考えてアクションする投資と淡々と積み立て運用するウェルスナビとの二刀流で、この先来るであろう世界経済の荒波に負けないよう、10年、20年と運用を続けていきたいと思います。
追記:おまかせNISA登場!
ウェルスナビがついにNISAに対応した商品をリリースしましたね。
その名も、「おまかせNISA」だそうです。
こうして書くと、なんだかつみたてNISAと似ているように感じます。
ですが、おまかせNISAで使える非課税枠は、一般NISAの非課税枠(年間120万円x5年=600万円まで)です。
一方のつみたてNISAの非課税枠は年間40万円x20年=800万円までです。
おまかせNISAは年間120万円x5年の非課税枠を使い、世界のETFに分散投資するという商品なのです。
この年間の非課税枠の範囲内であれば、一度に120万円を入金して運用するも良し。
あるいは月々12万円ずつ入金して積み立て運用するも良し、ということになります。
我が家もおまかせNISAの誕生を機に、妻がウェルスナビを開始しました!
タイミングとしては、先述の「Sell in May~」のセオリーからすると最悪のタイミングではありますが…。(汗)
ですが、ここは市況の上下に右往左往すること無く、淡々とロボアドバイザーに分散投資を続けて貰いましょう。