気に入った物件を見つけて、いよいよ契約へ!
テンションも上がってワクワクしますが、ちょっと待ってください。
建売住宅の場合、契約前に必ず確認すべき書類が3つあります!
建売物件の大半は、買手が家を見るタイミングが建築後になるのではと思います。
我が家もそうでした。
そうなると、工事の過程を見ることができないため、目には見えない部分で手抜き工事をされても発見できません。
また大手企業の競合ひしめくマンション市場と違い、戸建市場は小規模の住宅事業者が手がける物件も非常に多いです。
我が家もその例に漏れず、正直、売主さんのお名前を聞いても「?」でした。
そうなると、果たしてどこまできちんと工事しているか、とても不安になりますよね。
頑丈な家には
強い地盤
頑丈な基礎
しっかり接合された躯体
の3つが揃っていなくてはいけません。
そこで、
次の3つの書類を不動産屋さん、売主さんから見せてもらうように頼んでみましょう。
- 地盤の強さを確認→地盤調査報告書と地盤改良報告書
- 建物の強さを確認→建築住宅性能評価書または住宅瑕疵保険現場検査の報告書
- 建築基準法に適合しているか確認→建築確認済証、中間検査合格証、検査済証
地盤調査報告書と地盤改良報告書
地盤調査とは?
新築の建売住宅の場合、売主は家の建築前に地盤調査をしています。
地盤調査とは、家を建てる土地の地盤の強度がどうなっているか調べる調査です。
この調査は法律で義務化されているわけではありませんが、住宅の品質に確保の促進等に関する法律(通称、「品確法」)にて、住宅の引き渡しから10年間の瑕疵担保責任*が売主に義務付けられています。(*後でまた説明しますが、要は家の基本機能を10年間保証するということです。)
そしてこの瑕疵担保保険に加入するには、地盤調査をしないといけないため、結果的に売主は地盤調査をすることになります。
私は今の家を購入する時に地盤調査のことを知らず、事前に確認することなく契約に踏み切ってしまいました!(汗)
何千万円もする買物なのに、よく地盤調査のことを知らずに買えたね
無知ってスゴイよね!
契約時に大量の書類を売主から受け取るのですが、その中に地盤調査報告書が入っていました。
ご契約頂く物件の地盤調査報告書です。
地盤調査?
はい。実はこの物件の地盤は不同沈下を引き落とす可能性があるという調査結果でした。
家が沈んでいくっていうことですか?!
調査結果を受けて、地中にコンクリートの柱を設置するという地盤改良をしているのでご安心下さい。
このように、契約の当日なれば、売り主から受け取る書類一式の中に地盤調査報告書は含まれています。
ですが、これはとても重要なことで、
契約日に初めて知るような情報であってはいけません!
これから家を買おうとしている皆さんは、ぜひ契約前に地盤調査実施の有無を不動産屋さん、売主さんに聞いてみましょう。
出来ればその結果も口頭で説明を受けるだけでなく、地盤調査報告書を閲覧できないかお願いしてみてください。
地盤調査報告書でわかること
家を購入する際に、その立地が良いかどうかハザードマップで確認する人は多いと思います。
ハザードマップでわかることは、洪水、土砂災害や津波などの自然災害の過去の被害履歴です。
最近は集中豪雨が頻繁に起こりますので、ハザードマップで買おうとしている家がこれらのリスクに晒されているのかどうか確認することは非常に重要です。
一方で、地震によるリスクについてはハザードマップだけでは知ることができません。
そこで役立つのが地盤調査報告書です。
実際に我が家の地盤調査報告書を見てみましょう。
難解な数式のようなものや、聞き慣れない専門用語は理解できないものの、素人でも一通り目を通せば何が書いてあるかだいたい掴めます。
まず上の画像が報告書の1ページ目の内容です。
地盤調査の解析結果と、結果を受けた地盤改良の提案がされています。
我が家は地形図的には頑丈な台地に位置しているのですが、家の敷地の地盤をピンポイントで見ると、残念ながら柔らかい層があるようで、このまま何の措置もしなければ、家が沈んでしまう可能性があるという結果でした。
そこで、家の基礎の下の地盤に改良杭を設置し、家の不同沈下を防ぐという改良案が提案されています。
我が家の地盤調査報告書は全部で18ページありましたが、何が書いてあるのかチンプンカンプンのページもいつくかありました。
重要なのは、
買おうとしている土地の地盤がどういう土質のものなのか、そして地盤改良が必要かどうか
という情報です。
肝のところは売主さん、または不動産会社さんに説明してもらいましょう。
なお、地盤調査報告書には、地盤調査をした時の写真が添付されています。
建売住宅の場合、家が建つ前の更地の状態を見ることがないケースが多いため、建築前の土地の様子を伺える写真はとても貴重です。
地盤改良報告書とは?
地盤調査で改良が必要と診断された土地は、地盤改良を施さないと住宅瑕疵保険に加入できません。
従い、必ず地盤改良がなされ、その結果を報告する地盤改良報告書が存在します。
ところが我が家の場合、売主さんから受け取った書類を何度も見ましたが、この地盤改良報告書が入っていないようです。
2年検査が近づいている時期なので今更ですが、こんな大事な書類を確認せずに家を購入したなんて、我ながら大失敗です。
2年検査の際に問い合わせようと思います。
なお、地盤調査および地盤改良についてもっと知りたい方は、住宅地盤品質協会のホームページがとても参考になりますよ。
建築住宅性能評価書または住宅瑕疵保険現場検査の報告書
住宅性能評価とは?
建売住宅でも売主が住宅性能評価を受けていることがあります。
その場合は物件のアピールポイントにもなりますので、建築住宅性能評価書を見せて貰うことは、それほど問題とならないでしょう。
購入を検討している物件に住宅性能表示があればとても安心ですね。
日本住宅保証検査機構によると、住宅性能評価で評価される基本的なポイントは以下の通りです。
- 構造の安定性:地震、風、積雪に対しての建物の強さ
- 劣化の軽減:柱や土台の劣化の進行を遅らせる対策を評価
- 維持管理・更新への配慮:排水管、水道管、ガス管の点検・清掃・修繕のしやすさ
- 温熱環境:建物の冷暖房を効率的に行うための断熱などの省エネ対策を評価
戸建を買う上で不安に感じるポイントの殆どが、この住宅性能評価でカバーしていると思います。
理想は住宅性能表示がある物件を購入することだね
では、住宅性能表示がない家は諦めた方がいいの?
そんな時は、住宅瑕疵保険の検査報告を見れば良いよ
住宅瑕疵(かし)保険
我が家の場合もそうですが、住宅性能表示がない建売物件もたくさんあると思います。(むしろあることの方が少ない印象です。)
住宅性能表示がないからといって購入を断念すると、なかなか家が買えない、なんてことになってしまいそうです。
そんな時に住宅性能表示にかわるものがあります。
それが住宅瑕疵保険の現場検査です。
まず住宅瑕疵(かし)とは何ですか?
ここで言う住宅瑕疵とは、建物の構造に関する不具合や、雨漏りなどの防水措置に関する欠陥のことを指します。
住宅事業者は、家の引き渡しから10年間はこうした瑕疵を補修し、その費用を負担する義務を負っています。
いわゆる品確法により、住宅事業者は販売した家について、引き渡しから10年間は買い手に無償で瑕疵の補修をする義務を負っています。
ところが、万が一その住宅事業者が倒産してしまった場合、その補修を受けることができないと困ります。
そこで登場するのが住宅瑕疵担保履行法です。
住宅瑕疵担保履行法とは、住宅事業者が万が一倒産しても品確法に定める住宅瑕疵保証責任を履行できるよう、住宅事業者に「保険への加入」、または「保証金の供託」のいずれかを義務づけた法律です。
後者の「保証金の供託」というのは、法律で定められた補修に必要な金額を、あらかじめ法務局などの供託所に預けておくことを言います。
一方、前者の「保険への加入」を選択した住宅事業者は、住宅瑕疵保険に加入します。
住宅瑕疵保険とは、家の引き渡しから10年間の間に不具合(瑕疵)があった場合、その補修費用を売主である住宅事業者に支払ってくれる保険です。
でも、売主の住宅瑕疵保険への加入が、私たちが家を買う時の判断にどう役立つの?
住宅瑕疵保険に加入するには、専門の保険会社による建築工事現場の検査が必要なんです。
保険会社のエキスパートによる検査に合格している物件なら安心だね
この住宅瑕疵保険の加入の有無は、家の契約の時に書類とともに確認が可能ですが、やはり契約の当日に初めて知るのでは遅すぎます。
私は無知だったのでやりませんでしたが、できれば事前に売主さんに住宅瑕疵保険加入の有無を質問しておきましょう。
さらに、できれば次に説明する現場検査の資料を閲覧させて貰えると良いですね。
住宅瑕疵保険の現場検査
住宅瑕疵保険の現場検査は、基礎配筋検査と上部躯体検査の2回実施されます。(*木造4階建て未満の家の場合です。)
基礎配筋検査
戸建の基礎部分の施工状況をチェックする検査です。
最近の戸建の殆どがベタ基礎と呼ばれる基礎となっていて、家の立ち上がり部分と床一面を鉄筋を入れたコンクリートで固めてしまうものです。
基礎配筋検査では、ベタ基礎の鉄筋の太さや間隔が適正かどうかを検査します。
家の土台がのっかる基礎ですので、地盤検査と同様にとても重要な検査になります。
それでは我が家の契約時に貰った基礎配筋検査の資料を見てみます。
上の図はベタ基礎工事の全景写真として資料に添付されていました。
先の更地の状態の写真と同様、家が建った後の姿しか知らない私たちにはとても貴重な写真です。
ただ、この写真だけ見ても素人の私にはなんだかさっぱり分からず、とにかく証拠として工事当時の様子の写真が記録されていること、そして日本住宅保証検査機構による検査に合格したことが確認できたことに意味があります。
もっと詳しく調べたい場合は、ベタ基礎の図面を確認してみましょう。
正直これだけ見ても素人には何のことだか、という感じですが、以下のポイントが分かれば素人視点ながらより安心かなと思います。
- 鉄筋の太さと間隔
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基礎に張り巡らされる鉄筋の太さと鉄筋同士の間隔を確認します。
上の図面の所々に「D13 @200」や「D13 @ 150」という表記が見えますが、それぞれ直径13mmの鉄筋を200mm間隔、または150mm間隔で配置しています、という意味です。
色んな工務店のホームページを見たところ、鉄筋の太さが8mmなどという細いものを使ってコストを抑えるところもある一方、うちは13mmを標準仕様にしています!と売り文句にしているようです。
我が家13mmの鉄筋が使われているので、ここは一安心です。
鉄筋の間隔(編み目の幅)は短くて密であるほどより強度が増します。
我が家の鉄筋の感覚は150mmか200mmということで、標準的な仕様と言えそうです。(因みに、鉄筋同士の間隔の最低基準は300mmです。)
- 立ち上がり(基礎梁)の幅
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コンクリート張りの基礎と建物の土台とをつなぐ部分が立ち上がり(基礎梁)です。この部分の幅は最低13cmないといけません。
上の図面で「FG1」「FG2」のように表記されているパーツがありますが、これが立ち上がりの仕様です。
図面によれば立ち上がりの幅は150mmですので問題ありません。
- 地面から捨てコンまでの高さ
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基礎の一番下には砕石を敷きつめ、その上に捨てコンと呼ばれるコンクリートを入れて、ベタ基礎の下地を作ります。その捨てコンから地面までの高さが建築基準法では24cmないといけません。
上の図面によれば、場所によって異なるものの、最高で850mm、最低で550mmあるようなので、最低基準からはかなり余裕のある高さがあるようです。
上記以外のポイントも見るべきなのでしょうが、素人視点でも
コスト削減のため、建築基準法の最低ラインの仕様で作られた家ではない
ということが分かれば十分なのではと思います。
なお、我が家は木造3階建なので、一般的な木造2階建の家の基礎よりも屈強な造りでないといけないはずです。
そう考えると、上記のような仕様になっていて当然といえば当然かもしれません。
もっときちんとした(=お値段のお高い)家であれば、もっとスペックの高い基礎になっていることでしょう。
上部躯体検査
続いて実施されるのが建物の躯体検査です。
木造住宅の場合、上棟が完了した時点で再度検査をします。
ここで言う上棟とは、柱や梁などの建物の基本構造が完成し、家の最上部の屋根がついた時点のことを指します。
先述のように、頑丈な家を作るには、強い地盤に頑丈な基礎を築き、その上に柱や梁をしっかりと金具で固定しなくてはいけません。
そうした建物の基本骨組がしっかり固定されているかどうかを検査するのが、上部躯体検査なのです。
それでは我が家の検査の様子を見てみましょう。
屋根の接合部分などは、先日、3階の点検口から天井裏を除いた時に見えた部分もありますが、家が完成してからはなかなか確認できないところです。
こうして写真で記録されているのはとても良いですね。
瑕疵保険の検査に合格しているという事実が一番の安心ですが、素人目でも写真を見るとより安心できます。
続いて、家の頑丈さという意味ではあまり参考になりませんが、売主の住宅事業者やハウスメーカーが信頼のおける会社かどうかを見るために必要な書類について説明します。
建築確認済証、中間検査合格証、検査済証
家を建てる際には、建築基準法などの法令に適合しているかどうかの検査(建築確認)を受け、合格しなくてはいけません。
建築確認は簡易的な検査ではありますが、建築現場を見ることのできない建売住宅を購入する際には、検査に合格していることが安心の拠り所の一つになりますね。
建築確認では、大まかに以下の項目について検査されます。
- 建物及び敷地が建築基準法に則しているかどうか
- 建坪率、容積率、北側斜線規制、等が遵守されているか
- シックハウス対策はされているか?
- 居室の採光確保はされているか?
- 省エネ基準を満たしているかどうか(*2020年より適用されています)
木造3階建ての戸建の場合、この検査は建築計画、中間*、完成後の3回受けることになります。(*木造2階建ての場合は中間検査は義務ではありません。)
まず竣工前に、家の設計が建築基準法に適合しているかどうかを建築確認で検査します。
この検査に合格すると、建築確認済証が受けられます。
建築確認済証が発行されて初めて建築工事が始められます。
続いて我が家のように木造3階建て戸建の場合は中間検査があります。
これは、建築確認で提出した計画した通りに工事が進んでいるか、建物が完成すると外側からは見えなくなる箇所を検査する過程です。
最後に、建物が完成したところで、建物が設計通りになっているかチェックする完了検査があります。
完了検査に合格すると、検査済証が発行されます。
建築確認済証、中間検査合格証、検査済証は、その家のメーカーさん、売主さんが信頼がおけるところかどうかを見るための、最も基本的なバロメーターの一つとなるでしょう。
確認ポイントは「計画と実際に建っている家が一致しているかどうか」になります。
なお、これらの過程の途中で建築計画・設計に変更があった場合、必ずその変更についても申請をしなくてはいけません。
我が家の場合もベタ基礎の設計に変更があったようで、変更前と変更後の図面が建築計画の申請提出書類の中に含まれていました。
まとめ
売主の住宅事業者やハウスメーカーがあまりよく知らないところの建売住宅を買う場合、コストセーブのためにいい加減な工事をしていたり、強度に問題のある仕様になっていないか不安になりますよね。
家の強度はまずは強い地盤。
そしてそこに設置する頑丈な基礎。
その上にのっかるしっかりと接合された建物の躯体。
これら全てがしっかり揃って頑丈な家と言えるでしょう。
これらのポイントを確認するには、契約前に次の3つの書類を閲覧できると安心です。
- 地盤の強さを確認→地盤調査報告書と地盤改良報告書
- 建物の強さを確認→建築住宅性能評価書または住宅瑕疵保険現場検査の報告書
- 建築基準法に適合しているかを確認→建築確認済証、中間検査合格証(木造の場合は3階建て以上の家のみ)、検査済証
これらの書類は、契約時に売主から渡されることが多いと思いますが、できれば契約の前に閲覧だけでもさせて貰えると良いと思います。
但し、売主や不動産会社によっては、これらの資料を必ずしも開示してくれないかもしれません。
逆に、こうした重要な情報を開示してくれない売主さんからは買わない方が良いのかも知れません。
その場合、一応なぜ開示できないのか売主さんの事情を伺い、それが納得いくものかどうかも判断材料になると思います。
我が家はこの辺りが不勉強すぎて、大きな不安を抱えたまま家の契約に至ってしまいましたが、これから家を購入される皆さんの参考になれば幸いです!