実際に中古マンションから新築戸建に引っ越すまで不安要素の一つだったのが、固定資産税と都市計画税がどれくらいになるのか分からなかったことです。
㎡数だけで考えると戸建の方が大きいので高くなるのか、あるいはマンションの方が狭くても資産価値が高いので納める税額としては変わらないのか。
同じようにマンションから戸建への住み替えを検討している方の参考になればと思います。
固定資産税と都市計画税の比較に関連する、我が家の住み替え諸条件は以下の通りでした。
- 旧居:東京都23区内の築15年(売却当時)の中古マンション。占有面積66㎡。
- 新居:上と同じ区内の新築木造戸建。占有面積96㎡。
実際に戸建に引っ越して1年間納税した結果はどうだったでしょうか?!
66㎡築15年中古マンション | 年額 147,000円 |
96㎡新築木造戸建 | 年額 123,200円(*初年度) |
とうことで、
当初は戸建住宅の方が大きい占有面積にも拘わらず旧居の中古マンションより安い!
ところが、この「当初は」というのがくせ者です。
というのも、
新築住宅には固定資産税を下記の一定期間だけ軽減される措置があり、その軽減期間が終了すると、固定資産税が満額徴収されるからです。
対象住居(床面積50㎡~280㎡) | 一般 | 長期優良住宅 |
---|---|---|
1~2階建て住居 | 3年 | 5年 |
3階建て以上の住居、耐火・準耐火建造物) | 5年 | 7年 |
この軽減期間中は、家屋にかかる固定資産税が2分の1に減免されます。
新築マンションもこの軽減期間が5年(長期優良住宅であれば7年)あるのですが、我が家のマンションは中古だったのでそのような軽減措置があることを知りませんでした。
我が家は3階建ての準耐火住宅なので、固定資産税の減免期間は5年間です。
ということは、6年目には税額があがって、結局は前のマンションの税額を上回る可能性があります。では6年目には幾らになるのか試算してみます。
税務署から送られてきた固定資産税・都市計画税納税通知書には、軽減措置によって幾ら減額されていたか明記されています。
我が家の初年度の通知書には、家屋にかかる新築耐火住宅減免税額は50,331円となっていました。ということが、6年目にはこれが納税額に上乗せされてくる訳です。
一方で、家屋は年の経過とともに評価額が下がってきます。従い、家屋にかかる税額も減少していきます。
法務局の経年原価補正率表によると、1年目の補正率は0.8で、6年目の木造家屋の補正率は0.62とあります。
再び納税通知書に戻って我が家の家屋の固定課税標準額を調べると、7,190,200円と書いてありました。
これらを元に軽減措置が終了する4年目に家屋にかかる固定資産税を試算すると、下記の通りです。
6年目の固定課税標準額 7,190,200円x0.62/0.8x1.4%(標準税率)=78,013円
6年目には家屋にかかる固定資産税が27,682円値上がりする試算です(84,305円-50,331円)。
ということは、家屋の都市計画税及び土地にかかる固定資産税と都市計画税を合わせると、年額150,882円になる計算です。
66㎡の中古マンション時代と比べて、3,882円高くなるというわけです。
戸建住宅の方が占有面積が30㎡も広いこと、しかも新築住宅だったことを考えれば、これくらいの差であれば全然許容範囲内のように思います。
と、我が家の中古マンション時代と戸建時代を比較して比較してみましたが、実はもっと簡単に比較ができる方法がありました。
(そもそも先の比較では占有面積も場所も違う物件の比較なので、ちょっとわかりづらいですね。)
マンションと戸建の比較のポイントは、以下の2点です。
- マンションの場合、一棟に複数の住戸が存在するため、購入価格に占める土地の割合が低く、家屋の割合が高い。
- 木造家屋の耐用年数は22年だが、コンクリート造りのマンションの耐用年数は47年と長いため、経年による補正が木造家屋よりも少ない。
一つ目のポイントについて、なぜこれが納税額に差を生むのでしょうか。
まず、住居用の土地には、その土地に住宅が建っている限り、固定資産税が軽減されます。どれくらい軽減されるかと言うと、下記の通りです。
小規模住宅用地 (1戸あたり200㎡まで) | 固定資産税 課税標準額 x 1/6 | 都市計画税 課税標準額x 1/3 |
一般住宅用地 (上記を超える区分) | 固定資産税 課税標準額 x 1/3 | 都市計画税 課税標準額x 2/3 |
となると、購入価格に土地が占める割合が高い戸建住宅の方が、この軽減措置の恩恵をより得ることになるのです。
すなわち、
同じ価格で同じ場所、同じ専有面積のマンションと戸建では、マンションの方が固定資産税が高い
ということになります。
マンションを買うと、固定資産税と都市計画税だけでなく、管理費もずっと支払い続けなくてはいけません。
そういう意味では、戸建の方が毎年の支払いの負担が少ないと言えるでしょう。
*なお、この軽減措置ですが、本記事を執筆した日(2020年11月28日)時点で、2022年3月31日までに新築された住宅にのみ適用されることになっています。