家族とバケーション中にバンコクで虫垂炎に見舞われ、現地の病院で緊急手術入院した時のお話です。
パート①では、病院に行く前にやるべきことをまとめましたが、パート②は病院に行ってからの一挙一動を時系列で思い出しながら書いています。
みなさんの、「いざ」という時の参考になれば幸いです。
日本人病棟のあるサミティベート病院で受診
右下腹部の激痛は、たっぷり寝て休めば、翌朝には痛みはおさまっているだろう…。
その思いは叶いませんでした。
翌朝、全く下腹部の痛みが治っておらず、朝食はパスすることに。
友人一家はこの日の夜の便で一足先に帰国するため、日中はできるだけ多くの観光スポットを回るとのことでした。
足を引っ張ってはと思い、自分は朝一で病院に行くことに決めました。
妻と子供は友人一家と一緒にバンコク観光に行ってもらいます。
皆を見送った後、自分はGrabでタクシーを呼んで昨晩調べた病院に向かいます。
もしかすると即入院かも、という予感はあったため、パスポート、財布、携帯の充電コード、1泊分くらいの下着や歯磨き等は持って出かけました。
向かった病院はサミティベート病院という日本人御用達の病院です。
バンコクのスクムビットにあります。日本人の駐在家族が多く住むエリアでもあります。
この病院、私が拝見したブログの情報によれば、日本人用の窓口があったり、日本人専用の新病棟があったりと、なんだか至れり尽くせりな印象です。
ということで、タクシーで病院に到着すると、日本人窓口をまずは探しました。
するとお世辞にも愛想が良いとは言えないけれど、日本語で応対してくれるスタッフがいて、症状を伝えると、別病棟で診察を受けるのでそこへ向かえと言われました。
今思えばそれが日本人用の新病棟だったな、と思います。
別の病棟に行って名前を伝えると、ちゃんと私のことは伝わっていて、診察の順番がきたら呼ぶのでロビーで待機するように言われました。
細かいことは覚えていないのですが、1時間以上は待たされた記憶があります。
ようやく名前を呼ばれると、30代くらいのアジア系男性の医師が診てくれました。
この時のやりとりは全て英語*。
あれ、日本人御用達では?と一瞬思いましたが、幸い英語は出来るので私はなんとかなりました。
(*今思えば、事前に希望すれば日本語の通訳の方をつけてくれたと思います。)
症状を説明した後、手で下腹部をぐいぐい押され痛みがないかを聞かれます。
右下腹部が痛いことを伝えると、「Appendicitis(虫垂炎)の疑いがありますね」と言われました。
続いて、「検査するので名前が呼ばれたら検査病棟に行ってもらいます」、とのこと。
CT検査
さらに小一時間くらい待合室で待っていると、ようやく名前を呼ばれました。
すると、車椅子を持ってスタッフが待ち構えていました。
「クララかよ」
と、内心思いながらもありがたく車椅子に乗り、再び受付のあった病棟へと移動します。
人生初の車椅子にちょっとワクワクしていましたが、スタッフさんに連れられたのはちょっと薄暗い地下フロア。
レントゲンやCTなどの検査をする専用フロアのようでした。
そして人生初のCT検査。
ここまでのやり取りはやはり全てタイ語が入り混じった英語。
あれ、日本人御用達では?とまた思いましたが、ここはバンコクですから。
あのSF映画のような大きな機械に体を包まれ、ぐうぉーんぐうぉーんという作動音を聞きながらスキャンされていきます。
検査が終わると、再び先の新病棟に戻るように言われました。
ちなみに車椅子は無くなっており、帰りはなぜか歩きでした…。い、痛い。
そして手術入院宣告
病院に着いたのは朝の10時頃。そして最初の診察、血液検査、CT検査を経て今は午後12時過ぎ。
そこから新病棟の待合室で、1時間くらい待たされた気がします。
さすがに退屈になり、病院の近所をヨロヨロと歩いて探検したりして時間を潰しました。
そしてようやく名前を呼ばれて診察室に入ると、
また最初のアジア系男性の先生が、今度は日本語通訳の方と一緒にいらっしゃいました。
ただ、結局先生が英語で話しかけてくるので、私も英語で受け答えしてしまいました。
先生は単刀直入に「やはり虫垂炎ですね。すぐに手術が必要です。また2日ほど入院が必要です。早速手続きがありますので待合室でお待ちください」と言われました。
なんとなくシミュレーションはしていたとは言え、実際に手術してくださいと言われると動揺します!
「明日帰国予定なのですが、薬でごまかしておき、帰国後に手術ではだめですか?」と聞いたところ、
ここはハッキリ一語一句覚えていますが
「No. I cannot allow you to get on the airplane.(いいえ。飛行機の搭乗は許可できません。)」
と、言われてグゥの音も出ませんでした。
さらにもう手術の手配は進んでいるらしく、1時間後にすぐ手術になると告げられました。
待合室にヨロヨロと出て行くと、通訳の男性がついてきてくれました。
そして入院手続きについて説明してくれます。
まずは手術と入院に関する同意書に署名が必要なこと、諸費用の見積りを見せるのでそれにも署名が必要なこと、保険に必要な書類があれば教えて欲しい、等の説明を受けました。
かなり動揺していたので、こういう大事な情報は日本語で聞けてありがたかったと思います。
しばらくして手術入院費の見積書が出てきました。
ざっと日本円にして80万円くらいの見積もりでした。
事前調査ではバンコクでの標準的な虫垂炎の治療費は50万円くらいだったような…。
しかしここはサミティベート。日本人御用達、並びにお金持ち御用達の高級総合病院だったのです。
他に選択肢も思い浮かばず、ささっとサインしました。
家族、関係各所に連絡
手術が始まれば全身麻酔をかけられ、数時間連絡ができないことに気がつき、慌てて
- 家族にLINEで即日手術入院になること、入院期間は2日間になること、自分は帰国便をキャンセルするので先に明日子供と一緒に私のスーツケースも持って帰国して欲しいことを伝えました
- 会社にメールで緊急入院するため、休暇から戻って出社する日が遅れる旨を連絡しました
帰国便はANAだったのですが、翌日の夜中発の便だったため、自分が乗らないことは、慌てず諸々整えて明日連絡することにしました。
さて、いきなり手術と聞いてビックリしたのは妻です。
こちらは当時のリアルなLINEのやりとりです。
すぐに返信があり、子供を友人一家に預けて病院に来てくれるとのこと。
入院に必要なものはないか聞かれたので、追加の着替えと携帯の充電プラグを持ってきて欲しいと頼みました。
そして人生初の外科手術
そうこうしているうちに、ついにお呼びかかりました。
スタッフの方に連れられて手術棟へと向かいます。
心の余裕がなくなっていた私は、どこをどう移動したか記憶にありません…。
ただ車椅子はもう来てくれませんでした。(笑)
手術フロアに到着すると、洋服を脱いでロッカーに入れ、手術用ガウンを着るように言われました。
やり取りはやはり英語です。
えっと、日本人御用達…、のくだりはもう不要ですね。(笑)
私、生まれてこの方手術なんてしたことはありません。そもそも入院も初めてです。
ちなみに洋服は全部脱げとのご指示。
めちゃくちゃ心細くなりながら洋服と手荷物をロッカーに入れ、ガウンに着替えました。
このガウン、ドラマ等でよく見るあれなのですが、後ろがパックリ開いていて、お尻やら背中やらが丸見えです。
めちゃくちゃ恥ずかしいです。
ガウンを着てロッカー室を出ると、看護婦さんが手術台に案内してくれました。
手術台は見るからに真新しそうな設備で、初の外科手術に緊張が高まる一方、ちょっとホッとしました。
日本の病院の手術台は見たことがありませんが、老朽化の進む日本の病院よりはなんとなく安心します。
手術してくれるのは女性外科医さん。
私、仕事できます、という感じのキビキビ口調の方で、英語もとってもお上手。おそらくネイティブ?
そしてここが重要ですが、「そこに仰向けなってください」「合図とともに深呼吸してください」といった指示が全部英語で出されます。
これ、英語が苦手な方だとかなり面食らうと思います。事前に何を言われるか、英語の文章を調べて覚えておきましょう。
何を言われたか正確には覚えていませんが、だいたい下記のようなことを言われたと思います。
- Please lie on your back on the bed(ベッドに仰向けになってください)
- Please take a deep breath when I say now (私が今ですと合図をしたら深呼吸をしてください)
指示通りに手術台に仰向けになると、背中とお尻が丸出しなので、冷たい手術台に触れてとってもヒンヤリしました。
そして急に部屋が冷蔵庫並みに寒いことに気がつき、歯がガチガチと震えてしまいます。
そこへ仕事のできる女医さんが問答無用で寝ている私のガウンを剥ぎ取りました。
めっちゃ寒い上にマッパですか!?と思ったら、すぐに看護婦さんが何やらシーツみたいなものをかけてくれました。
ふぅ…。
そして何やら酸素吸入機のようなチューブのついたマスクが顔の近くに下ろされ、
「Mr. Tateuri, this is oxgen(酸素). Please take a deep breach when I say now. OK?」とのご指示。
酸素といいながら麻酔でしょ、と内心思いながら、俺は最後まで目を開けて粘ってやるぜなどと考えていました。
「Mr. Tateuri, NOW! Take a deeeeep breath slowly.」
マスクを当てられてすぐに合図がありました。
眠ってなるもんかと(なぜか抵抗したくなるのですよね…)目を見開きつつ、ゆっくりとマスクから送られてくる酸素を吸い込むと…
死ぬかも(恐怖体験:バンコクの高級病院で本当にあった怖い話)
遠くで名前が呼ばれている気がしました。
そして次の瞬間、「Mr. Tateuri! Mr. Tateuri!」と私の名前を呼ぶ声がし目が開きました。
見えたのは手術台のライトと女医さんが覗き込む顔。
まんまと麻酔ガスで眠ってしまい、手術は終わっていました!
と、その時です。
目は開いたものの全身が全く動かないことに気づき、急に息苦しくなります。
息ができません!
しかも全身が動かないので、息ができないことを伝えることも、もがくことも出来ません!
死ぬ!死ぬ!
と思ったその瞬間、
「Oh!」と私を一瞥して状況に気付いた外科医さんが、私の口に突っ込まれていたチューブを取り外してくれました。
「ぷはー!」と一気に酸素を取り込み、危機一髪!
仕事できそうな女医さんだったのに…。
そしてまたしても自分が素っ裸であることに気づいたとき、看護婦さんがさっとシーツのようなものをかけてくれました。
手術台のベッドにはキャスターがついていて、そのままベッドごと手術室の外の廊下に動かされ、少し休んでおくように言われました。
「今何時だろう?」「妻と子供は病院に来てるだろうか?」などと思いつつ、体が動かないのでそのまままた深い眠りに落ちてしまいました。
目覚めたら夕方6時
目を覚ますと、いつの間にか入院フロアの個室に寝かされていました。
いつの間にかガウンも着ています。
鼻と右手首に何やらチューブがつけられてます。
そばにあった時計を見ると、なんと夕方の6時!
家族はどうしたんだろう?と思って部屋を見渡すと、
妻に持ってきてと頼んだ荷物が部屋に置いてありました。
恐る恐る上半身を動かしてみると、お腹のあたりに激痛が走ったものの、ゆっくり起こせばなんとかいけそう。
ゆっくり体を起こしてそばにあった携帯を手に取ります。
妻からLINEが来てました。
なんでも、病院に着いたときには麻酔で熟睡中で、夜まで目覚めないから一度帰るように病院スタッフに言われたのだそう。
荷物だけ置いてホテルに戻ったのだそうな。
す、すまない。(涙)
しかもまた子供を連れてホテルに向かってくれるらしい。
しばらくして看護婦さんが入ってきて、お粥が入った夕ご飯を持ってきてくれました。
また何やらベッドの足元でゴソゴソ作業しています。
みると、尿らしき液体が入った袋を取り出して外へ行ってしまいました。
恐る恐る布団をめくって中を覗くと、
むむ!
チューブがあそこにもついてました!
全身麻酔かけられてましたからね。そりゃそうですよね…。
しかし未知の体験に衝撃を受けました。
妻より明日またきてくれるとのメッセージがあったので、とりあえずまたちょっと寝ることにしました。
初めての入院生活1日目
人生初の入院生活が始まりました。(短いですが…。)
しかもそれがバンコクの病院になるとは…。
眠ったり目覚めたりを繰り返してうとうとしていると、1時間おきくらいに看護婦さんが様子を見にきてくれます。
入院フロアの看護婦さんたちはあまり英語ができないようで、タイ語で色々と説明をしてくれますが、ちょっとよくわからず、なんとなく内容を推測するしかありません。
あれ、日本人御用達病院だったのに…。
いえ、もういいんです。そんな誰も彼もが日本語を喋ってくれませんよね。
入院中の振る舞いについてはネットで色々と検索したので、チューブにあれが繋がっている間はトイレに行かなくて良いとか、虫垂炎の手術後はしばらく硬いものは食べれない等の基本情報は頭に入れました。
実際お腹もすかないし、と思ったら意外にお腹が空いたので、看護婦さんが置いて行ってくれたお粥に口をつけ、
恐る恐る一口すすってみました。
飲み込むときにお腹に力を入れるので、少し鈍い痛みがあったものの、ゴクリといけました!
結局、少しずつ口にいれて一皿完食してしまいました。
また、手術したところがどうなっているのか気になったので、これまた恐る恐るガウンをめくってみると…
小さな四角いガーゼで抑えられた傷口らしきものが4つ、お腹に貼られていました。
正直、これだけ?と思うくらい小さな傷です。
盲腸を切除するので、赤ずきんちゃんの狼よろしく、お腹にギザギザの縫い跡がついてるもんだとばっかり思ってました。
なんでも今時の虫垂炎の手術は、副膣鏡手術という方法がとられるそうで、へその辺りに一箇所穴をあけ、そこから複数の機器を入れて虫垂を切除するのだそうです。
私の場合、おへそのあたりのガーゼがなぜ二箇所なのかわかりませんが、概ね三箇所に傷痕があるのはこの副膣鏡手術ではスタンダードなようです。
しかしこんな小さな傷3つで、動くとものすごく痛いです。
改めて帝王切開をする女性って凄いな、と尊敬してやまないです。
しばらくして、妻と子供が病院に到着しました!
悪名高いバンコクの大渋滞でホテルから病院まで1時間以上かかってしまいました。
いつもはテンションが高い子供ですが、色んな管につながれたパパの姿を見て怖くなったのか、せっかく来てくれたのに全然近くに来てくれません。(笑)
ずっとママにくっついたままモジモジしていて可愛かったです。
さらに、ベッドの足元に黄色い液体の入った袋が下がっているのを見つけ、これが何かママに聞くと、さらにテンションがガタ落ちしていました…。
子供が居心地悪そうにしているし、妻もお腹が空いてきたようなので、また明日来るねと言ってお見舞いは終了となりました。
妻と子供は帰りも大渋滞にはまり、ホテルに帰ったのが夜10時近くだったそう…。
その後、何度か看護婦さんがやってきて、熱を測ったり、点滴を取り替えたりしてくれました。
こうして入院初日の夜はふけ、私はいつしか本格的に眠りに落ちました。
入院2日目
そして朝。
目を開けると、改めて昨日手術を受けてバンコクの病院に入院しているというシュールな事実を再確認します。
昨晩は気づきませんでしたが、私が入った個室はかなりの広さ。
さすがセレブ病院ですね。
なんとなく歩ける気がしたので、ゆっくりと体を起こしてみます。
うん、なんとか行けそう。
さらに慎重に足をベッドの淵から床に下ろし、ゆっくりゆっくりベッドから降りてみました。
腰を曲げていないと立っていられないものの、なんとか歩けそうだったので、早速部屋の中を探検します。
窓のカーテンをあけて外の状況を見たかったのですが、あいにく病院の別棟の壁しか見えませんでした…。
部屋のテーブルには昨晩食べたお粥のトレーがまだ残っていました。
そうこうしているうちにまた看護婦さんが来てくれました。
まずは検温。昨晩からずっと平熱です。
続いて点滴のチェック。
傷の痛みはないか聞かれました。昨晩は鈍い痛みがあったものの、今日は動かなければ大丈夫そうです。
そう伝えると、昨晩は点滴に痛み止めが入っていたからね、と英語で教えてくれました。
今日の看護婦さんは英語ができそうです。
さらに看護婦さんが「ガス出ましたか?」と今度は日本語で聞いてきます。
これがかの有名な、盲腸の手術の後で聞かれる「おなら出ましたか?」ですね。
朝、しっかりガスが出ましたのでそう回答しました。
今やっている点滴には抗生剤が入っていることも教えてくれました。
続いて今日のご飯が何がいいか選ぶようにといって、メニューを置いていってくれました。
3食分いま頼まないといけないとのことで、朝は和定食、昼はガパオライス、夜は和食(生姜焼き)をチョイス。
日本食があるのは、やはり日本人御用達病院だからなのでしょうか。
そしてやってきたのがこの和定食です。
いきなりがっつりご飯ですが、ご飯を飲み込んでも手術したお腹に痛みはなく、問題ありませんでした。
妻からLINEがきて、子供と一緒にタクシーで病院に向かっているとのこと。
家族には私を置いて今日の夜中の便で帰国してもらいます。
妻と子供だけで大丈夫か心配ではありますが、妻は海外出張が多い仕事で旅慣れているので大丈夫でしょう!
今日もまた車が大渋滞だったようで、車の中でぐずる子供に妻は疲れ気味。
そんな中、入院中の暇つぶしにiPadとヘッドフォンを持ってきてくれました!
大変ありがたい!
さて、妻と子供も帰国の準備があるのであまりゆっくりもできません。
早速、色々と事務連絡をしておきます。
自分はおそらく明日退院となること、ただ明日の夜に帰国はつらそうなので、バンコクのホテルで一泊し、明後日の便を予約し直して帰国するつもりであること、等々。
妻からは、昨日先に帰国した友達一家が私のスーツケースを持って帰ってくれたことを聞きました。
なんてありがたい!
持つべきものは友ですね。感謝です!
そもそも虫垂炎じゃない?と教えてくれたのもその友達。おかげで色々と事前に心の準備ができて本当に助かりました。
事務連絡も終わったところで、子供がいよいよ居心地悪そうにしているので、サヨナラすることにしました。
妻と子供はタクシーでホテルに戻り、荷物をまとめたり、チェックアウトしたり、お昼を食べたりしながら帰国するそうです。
家族がいなくなるといよいよ寂しい病院の個室。
そこへお昼ごはんが運び込まれます。
お昼はガパオライスをチョイスしたのでした。
すごく期待していたガパオなのですが、食べてみると、「ん?生姜焼き?」というお味。
美味しかったですが、期待していたエスニックなガパオライスではありませんでした。
昼食後、今度は看護婦さんが2人やってきました。
熱も平熱だとわかると、ベッドから出て立つように言われます。
またおじいさんのようによろよろと腰をかがめて立つと、ものすごく事務的に
「おしっこ、チューブ抜きます」と日本語で言われました。
そしてなすがままにあそこから管を抜いてもらいます。
誰かの体験談でものすごく痛かったようなことが書いてあったので、身構えていたのですが、看護婦さんが上手だったのか、私はあまり痛くありませんでした。
最後に「水をたくさん飲んでおしっこをいっぱいするように」と言い残し、看護婦さんは去っていきました。
言われた通りたくさん水を飲んでいると、しばらくして尿意をもよおしたため、恐る恐る個室のトイレに向かいます。
他人の体験談によれば、管を抜いた後の排尿がやばいくらい痛いらしい…。
激痛への恐怖からなぜか半笑いになる自分…。
とりあえずゆっくり便座に座り、深呼吸をしてから、いざ…
上の絵から察してください。
病室から帰国延期の諸手続き
午後になると、明らかに朝よりもまた元気になっている自分を感じます。
これなら明日の退院は大丈夫そうだなと思い、会社にメールで連絡を入れます。
帰国が2日延びるので、出社は翌週になる旨を伝えました。
続いてクレジットカードの海外サポートデスクに電話をします。
海外旅行中に虫垂炎になり、滞在先のバンコクで昨日緊急手術を受け、2日間ほど入院することになったので保険の適用を受けたい旨を説明。
保険金申請に必要な書類を確認したいことを伝えました。
オペレーターの方の説明は、事前に調べておいた必要書類と同じでした。
まだこの先も諸費用がかかるかもしれないので、帰国後にまた連絡を入れると伝え電話を切りました。
続いてもともと買っていた今夜の帰国便をキャンセルしなくてはいけません。
航空会社は全日空(ANA)です。
私のメインカードはANA VISA スーパーフライヤーズカード(SFC)なので、SFCの窓口に電話をします。
電話がつながると、バンコク旅行中に虫垂炎になり入院中となった顛末を説明し、今晩の飛行機には乗れなくなった旨を伝えました。
オペレーターの方は心から同情するような口調で親切に対応くださり、さらに帰国後に連絡をもらえれば、キャンセルした帰国便の料金を返金するとも言っていただけました。
そもそもキャンセル不可のチケットですので、料金は戻ってこないものと思っていたため、これには驚きました。
事情が事情なので、という特別対応のようですが、本当にありがたいです。
これで一旦電話を切り、今度は明後日の帰国便の予約をします。
これはANAの携帯アプリでさくっと予約できました。
バンコクから東京の片道航空券を買うのですが、ANAのアップグレードポイントを使ってビジネスクラスでゆったり帰りたかったので(狭いエコノミー席はさすがにこの体では厳しい)、アップグレード可能な高いエコノミーチケットを購入しました。
お値段は117,800円!高い!
これも保険で戻ってくるだろうと見越しての出費ではあります。
最後に明日の退院後に一泊して体を休めるホテルを押さえなくてはいけません。
入院前に宿泊していたのはバンコクのインターコンチネンタルホテル。
やはり同じホテルが良かったので、1泊87,000バーツ(約3万円)でスタンダードルームを予約しました。
そうこうしているうちに夕食が運ばれてきました。
夕食は生姜焼き定食です。
うーん。もはやどれも見た目、味ともに一緒なような…。
お昼に食べたガパオとあまり変わりません。
でも美味しく頂きました!
さて、時刻は午後7時ごろ。
まだ寝るには早いし、妻と子供の帰国便は夜11時に出発なので、それまで起きていたい。
ということで、妻が持ってきてくれたiPadでネフリ(Netflix)でも見ることに。
夜11時半ごろに、妻から飛行機に登場した旨のメッセージが入りました。
子供がパパがいなくて泣くかと思いきや、上機嫌らしい…。
たくましいね。
妻にLINEでおやすみなさいを送って寝ました。
入院3日目(最終日)
朝、5時ごろに目が覚めると、妻と子供は羽田に到着していました。
子供はぐっすり飛行機で寝れたようです。
6時くらいになると看護婦さんが様子を伺いにきました。
元気に起きているのを見て、看護婦さんに
「Mr. Tateuri, you look good today.(今日は元気そうですね)」と言われました!
朝ごはんを食べ、またネフリを見たりしながら、残り少なくなりつつある入院生活を満喫します。
午前11時ごろ、あのアジア系男性の医師が診断にやってきました。
いよいよか!
色々と問診の上、今日で退院と言われました!!
やったー!!
日本にいつ帰るのか聞かれたので、今日は大事をとってホテルで一泊し、明日帰国すると伝えると、「それがいいね」と言ってくれました。
また、手術痕は特に帰国後医者に見せる必要はないが、心配なら診断書を持って見せてもいいでしょう、とのこと。
退院時に1週間分の抗生剤を出すので、それを飲んでいる間は傷口の防水テープをつけたままにし、運動ができるようになるのは1ヶ月後です、とも言われました。
問診後、すぐ帰れるのかと思いきや、お昼が運ばれてきました。
お昼を食べたら帰れるのかな?
お昼を食べ終わると、今度は日本人のコーディネーターの方がいらっしゃいました。
この後の退院の手続きについて教えていただき、また保険申請に必要な書類は何を何通欲しいか聞かれました。
保険金申請の書類は入院前に調べてあったので、診断書、治療明細書、領収書の3点セットを3通欲しいと即答できました。
クレジットカード付帯の海外旅行保険、勤め先の健康保険の海外療養費、そしてANAの航空券の払い戻し用です。
最後の点滴が打ち終わったら退院とのことで、再びベッドに横になります。
その間にクレジットカードでお会計を済ませ、また保険用の書類も受け取りました。
お会計は…243,850バーツ!!86.5万円相当です!
そして午後2時、ついに点滴が外されました!
リュックに荷物を詰め込むと、かなりの重さです。
恐る恐る肩に担いでみると、ずしりとお腹に圧がかかり、やはり痛みがあります。
そろりそろりと腰をかがめて歩き、3日間お世話になった病室に別れを告げました。
さて個室を出ると、ナースステーションのようなものが目の前にあったのですが、自分がどこにいるのかさっぱりわかりません。
キョロキョロしていると、看護婦さんたちが私が帰ろうとしていることに気づき、慌てて
「Are you leaving? Do you know where you are going?(お帰りですか?帰り方わかりますか?)」と声をかけてくれました。
出口の方向だけ聞くと、ゆっくりと、でも深々と頭を下げて「コップンクラップ」とお礼を言い、サミティベート病院を後にしました。
インターコンチネンタルホテル バンコクで1泊
病院からホテルまでタクシーで向かいます。
バンコクの道はよく揺れます。揺れるたびににお腹が千切れるような痛さで耐えられず、スマホで「虫垂炎の手術を受けました。お腹がとても痛いです。ゆっくり運転をお願いします。」という文章をタイ語で読ませました。
すると運転手さんが急に笑顔になり、とっても優しい運転をしてくれました。
タイの方々優しい…。
ホテルに到着し、フロントでチェックインをお願いすると、あいにく部屋がまだ準備できていないとのこと。
すかさず自分が手術入院していて退院直後であることを伝え、できるだけ早く部屋に入りたいとお願いしました。
すると、部屋の準備ができるまでロビーにあるバルコニーというラウンジに席を用意してくれました。
ちょうど3時のお茶の時間だったので、アフタヌーンティーのサービスまでしてくれました。
これはちょっと嬉しいですね。
そして午後4時ごろ、ようやく部屋に案内されました。
予約した部屋はスタンダードルームですが、私がインターコンチネンタル アンバサダー会員なのでコーナールームにアップグレードされていました。
この部屋はクラブルームではないのですが、おそらくチェックインを待たせたからだと思うのですが、特別にラウンジのカクテルアワーをサービスします、とのお申し出がありました。
普段なら大喜びですが、流石に手術直後ではお酒も飲めず…。
ただ、ありがたく6時くらいにラウンジに降り、オレンジジュースとチャーハンをいただきました。
久しぶりに外に出歩き、傷口がちょっとズキズキ痛んだので、この日は早々に部屋にもどって寝ました。
2日遅れの帰国
バンコク最終日。
新たに買い直した帰国便は午後1時55分発の羽田行きのANAです。
朝5時に目が覚めたので、ホテルのシャワーを浴びます。
傷口は防水テープが貼ってあることがわかったので、思う存分シャワーを浴びました!
朝ごはんはインタコの豪勢なビュッフェを堪能。たらふくパンケーキを食べました!笑
そして予約したハイヤーで空港に向かいます。
リュックの荷物が重く、空港内で歩き回るのがかなりしんどかったので、お土産を買うなどという余裕はなく、まっすぐラウンジに向かいました。
1時間ほどゆっくりし、いざANAの搭乗ゲートへと向かいます。
ANAのアップグレードポイントを使って事前にビジネスクラスに変更していたので、痛むお腹をかばいつつも、ゆったり席に体を収めることができました。
そしていざ日本へ!
家族から遅れること2日。
無事に帰国することができました!
次回は、帰国後に保険金申請について書きたいと思います。